ニューヨークにある世界最大級の名門オペラハウス『メトロポリタン歌劇場』を紹介します。
メトロポリタン歌劇場とは
『メトロポリタン歌劇場』はニューヨークにある世界最大級の名門オペラハウスです。
前身となる旧歌劇場ができたのは1883年。「自分の劇場が欲しい」と望んだ裕福なビジネスマンのグループによってブロードウェイと39丁目に建てられました。1996年に現在のリンカーンセンターへ移転し、旧歌劇場は翌年の1967年に解体されてしまったので現在は残っていません。
現在のメトロポリタン歌劇場は、外観は白のトラバーチン大理石で覆われており、5つのアーチによるファザードが特徴となっています。観劇のあとはまっすぐ帰らず、一度うしろを振り返ってみて欲しい。館内から溢れるアーチ状の美しい光に魅了されるでしょう。
内装も非常に綺羅びやかで、エントランスや劇場内からレストランにいたるまで赤い絨毯が敷かれており、ハリウッドのレッドカーペットを歩いているようなモダンでエレガントな空間になっています。
当劇場はメトロポリタンオペラ歌劇団(Metropolitan Opera)の本拠地です。通称メト(MET)とも呼ばれ、北米最大のクラシック音楽組織である。
メトロポリタン・オペラ(MET Opera)の公演は9月から翌年5月までのシーズン制となっており、期間内はレパートリー制(ローテーション制)で、誰もが知る定番オペラから新作まで20〜30回の公演が行われる。オフシーズンはオペラ公演は減りバレエなどの公演が行われます。もしニューヨークでオペラを観劇したい場合は、オペラシーズンについても把握しておきましょう。
ニューヨークの観劇といえばブロードウェイ・ミュージカルがポピュラーですが、オペラ歌劇も体験してみると意外と良いものです。オーケストラの生演奏や迫力の歌劇を、モダンでエレガントなメトロポリタン歌劇場で楽しんでみてはいかがでしょうか。
アクセス
施設 | Metropolitan Opera |
住所 | 30 Lincoln Center Plaza, NewYork, NY |
最寄駅 | 66 Street-Lincoln Center駅 59 St-Columbus Circle駅 |
HP | 公式サイト |
初心者におすすめのオペラ作品
オペラ初心者の方は「知っているストーリー」や「知っている曲」がある作品から入るのがおすすめです。メトロポリタン歌劇場でよく公演される作品の中から、オペラ初心者の方でも馴染みやすい「おすすめの入門作品」をピックアップしました。オペラ観劇に挑戦したい方は参考にしてみてください。
ロメオとジュリエット
タイトル | ロメオとジュリエット(Romeo And Juliet) |
舞台 | 14世紀のイタリア |
作曲 | セルゲイ・プロコフィエフ(Sergei Prokofiev) |
上演時間 | 2時間35分 |
スケジュール | ・第1・2・3幕(80分) ・休憩(35分) ・第4・5幕(75分) |
有名な曲 | ・モルタギュー家とキャピュレット家 |
概要
言わずと知れたイングランドの劇作家シェイクスピアの『ロメオとジュリエット』を基にした作品。舞台は14世紀のイタリア。敵対する2つの名家、モルタギュー家の息子ロメオと、キャピュレット家の娘ジュリエットの恋と悲劇を描いたオペラおよびバレエ作品です。第2幕のロメオとジュリエットがバルコニー越しで対面し、歌と言葉を交わすシーンは、本作最大の名シーンであり最も有名なシーンである。本作はオペラやバレエだけでなく、ドラマ、映画、ミュージカルなど、あらゆる形で現代化される不朽の名作となっている。その理由は若い男女が社会的な軋轢や壁を乗り越えて愛を誓い合うという、いつの時代も通用する不変的な物語であるからだと思います。時代を超えた不朽の名作をぜひオペラの世界で楽しんでみて欲しい。
あらすじ
【第1幕】舞台は14世紀イタリアの都市ヴェローナ。この街には皇帝派のモンタギュー家と、教皇派のキャピュレット家という2つの名家が存在する。両家は派閥闘争で対立関係にあり抗争を繰り返していました。モンタギュー家の息子ロメオはロザラインという女性への片思いに苦しんでいましたが、そんな彼を見た友人はロメオをつれて対立するキャピュレット家の仮面舞踏会に忍び込みます。ロメオはその会場のバルコニーでキャピュレット家の娘ジュリエットに出会い二人は恋に落ちます。そこにキャピュレット家の跡取りティボルトがジュリエットを呼びに来て、ロメオは彼女が敵対するキャピュレット家の娘であることを知ります。ロメオはその場を離れようとしますが、立ち去る時の声でモルタギュー家のロメオであることを見抜いたティボルトは剣を抜き殺めようとします。しかし、場を荒立てたくないキャピュレットに止められる。ロメオは友人と共に会場から逃げ去った。
【第2幕】その夜、ロメオはキャピュレット家の庭に忍び込みジュリエットの部屋に向かって思いを馳せて歌います。すると、偶然ジュリエットが部屋の中からバルコニーに現れひとり言でロメオへの思いを告白します。それを聞いたロメオは彼女の前に姿を現し同じ気持ちであることを伝え、二人は見回りの者を避けながら愛の二重唱を繰り広げます。このシーンでは「ロメオ、どうしてあなたはロメオなの」というセリフが有名。ロメオという名前と家名を捨てれば・・という本人達にはどうすることも出来ない家柄という壁の厚さを憂いています。ジュリエットはロメオとの別れを惜しみながら部屋の中に戻って行きます。
【第3幕】ロメオは修道院の神父ロレンスのところへ行き、敵対するキャピュレット家のジュリエットに恋したことを話す。そこにジュリエットも乳母と共に訪れる。2人は神父に結婚の許しを乞い神に祈りを捧げる。長年敵対してきた両家の子が結婚すれば、モンタギュー家とキャピュレット家の抗争も解消されると期待した神父は2人の結婚に祝福を与えた。一方その頃、主人を探していたロメオの小姓がキャピュレット家の前を通った時に同家を揶揄するような歌を歌う。それを聞いたキャピュレット家のグレゴリオは怒り、剣を振るおうとする。それを見たロメオの友人メルキュシオは子供が襲われていると思い剣を抜く。そこにキャピュレット家の跡継ぎティバルトも加わり激しい決闘に発展する。騒ぎを聞きつけたロメオが現れ争いを止めようとしますが、その時にティバルトの剣が友人メルキュシオに刺さり殺めてしまう。友人を目の前で殺されたロメオは怒って剣を抜きティバルトを殺めてしまいます。ヴェローナ大公は両家の争いが激化することを避けるためロメオをヴェローナの街から追放の罪に処した上で、争いを起こしてばかりの両家に反省を求めてその場を収めた。
【第4幕】ヴェローナの街を追放されたロメオは、身を隠してジュリエットの寝室にやって来る。ジュリエットはロメオが従兄ティボルトを殺害したことを許し、二人は愛の幸福を歌って結婚初夜を迎える。翌朝、ロメオが去った後に父キャピュレットがやって来て、ジュリエットとパリス伯爵の結婚を宣誓する。絶望したジュリエットは神父ロレンスに相談すると、神父は彼女に丸一日だけ仮死状態になれる薬を与える。その薬を飲んで墓に入れられたあと、墓から脱出し、迎えに来たロメオと一緒に逃げるよう伝える。ジュリエットはその恐ろしい計画に悩むが、ロメオと一緒になるために薬を飲むことを決意する。キャピュレット家の宮殿でジュリエットとパリス伯爵の結婚式が行われるが、伯爵が彼女の指に指輪をはめようとした瞬間、彼女は薬の効果で倒れて死んでしまう。
【第5幕】亡くなったと思われたジュリエットはお墓に埋葬される。神父はロメオに事情を話す予定だったが、ロメオは別の人物から先にジュリエットが亡くなったことを聞いてしまう。お墓に駆け付けたロメオは仮死状態のジュリエットを見て絶望し、自らも毒薬を飲んで命を絶とうとする。その時、ジュリエットは仮死状態から目覚めてロメオとの再会を果たします。二人は一瞬の幸せな抱擁をするが、毒がまわったロメオはジュリエットに抱えられなが息を引き取ってしまう。彼が毒を飲んで自害したことを知ったジュリエットは彼の後を追うように短剣で自らの胸を刺し最後の接吻を交わして息を引き取り、オペラは終了となります。
カルメン
タイトル | カルメン(Carmen) |
舞台 | 1820年代のスペインのセビリア |
作曲 | ジョルジュ・ビゼー(Georges Bizet) |
上演時間 | 2時間40分 |
スケジュール | ・第1幕と第2幕(100分) ・休憩(35分) ・第3幕と第4幕(70分) |
有名な曲 | ・カルメン「前奏曲」(第1幕) ・カルメン「ハバネラ」(第1幕) ・カルメン「闘牛士の歌」(第2幕) ・カルメン「アラゴネーズ」(第4幕) |
概要
舞台は1820年代のスペインのセビリア。煙草工場で自由奔放に働くジプシー(移動型民族)の女性カルメンと、真面目な衛兵男性ホセの恋と破滅を描いたオペラ作品。ジョルジュ・ビゼーによって作曲された世界でもトップクラスに有名なオペラ作品の一つ。『ハバネラ』や『闘牛士の歌』など有名な曲が多く使用されており、第1幕で演奏される『カルメン・前奏曲』はクラシック音楽に詳しくない方でも必ず知っている名曲で、開幕から興奮を掻き立ててくれるでしょう。演奏時間は長めですが、わかりやすいストーリーと有名な名曲の数々から、オペラ初心者の方でも見やすいと思います。
あらすじ
【第1幕】セビリアの煙草工場で働く女工にカルメンというジプシーの女性がいました。彼女は人気者で昼休みに広場に出ると『ハバネラ』を歌って多くの男性を魅了します。しかし、真面目な衛兵ホセだけは彼女に全く興味を示しませんでした。カルメンは自分に興味を示さないホセに対して花を投げて挑発します。彼女の無礼な態度に怒りながらもホセはカルメンのことが気になり始めます。ある日、カルメンは工場内で喧嘩騒ぎを起こし牢に送られます。彼女は護送を命じられたホセに縄を解くよう誘惑。彼女に惚れ始めていたホセは縄を解いてカルメンを逃してしまい、逃亡を手助けした罪で逮捕されます。
【第2幕】ホセは一ヶ月後に釈放される。その頃、友人と酒場で踊っていたカルメンの元に闘牛士エスカミーリョが現れ『闘牛士の歌』を歌い彼女の気を引こうとするが相手にされない。一方、カルメンと友人は密輸団の仲間になるよう勧誘を受けていた。釈放されたホセが酒場に着いた時、カルメンは彼を祝い踊りでもてなした。しかしカルメンは軍の帰営の時間になり帰ろうとするホセに対し「あなたは私を愛していない」と怒り「愛しているなら一緒に密輸団に入れ」と迫ります。そこに上官ズニカが現れ、ホセが身分の低い女と恋愛していることを咎め帰隊を命じた。カルメンを悪く言われたホセは怒り上官と決闘することに。そこに密輸団も加わり上官に危害を加えてしまう。後に引けなくなったホセはカルメンと共に密輸団に加わる。なお、ホセが自分より軍を優先して帰ろうとしたとこを見て、カルメンの心は徐々にホセから闘牛士エスカミーリョに移り始めていた。
【第3幕】友人2人がカード占いをしているとこにカルメンも参加します。カルメンは何度も占いを試しますが、カードの結果はすべて『死』が予言され、彼女の不吉な結末を暗示させる。密輸団の見張りをするホセの元へ婚約者だったミカエラが現れ密輸団を辞めるよう説得する。しかし、カルメンに惚れていたホセは説得を受け入れず、彼女は悲しみに暮れる。そこに恋敵である闘牛士エスカミーリョが現れ、カルメンを掛けてホセと決闘が始まるが、他の仲間に止められ一旦その場は収まる。エスカミーリョは「全員を闘牛場に招待する」と言い残して去っていく。そのあと、ミカエルから「ホセの母が危篤状態だ」という知らせを受けます。ホセはカルメンに別れを告げ、密輸団を抜けて故郷に帰ります。
【第4幕】ホセが密輸団を抜けた一ヶ月後。闘牛士エスカミーリョの恋人となったカルメンは試合を観る為に彼と一緒に闘牛場に現れる。一方、故郷から戻りカルメンを探していたホセは闘牛場で彼女らと鉢合わせる。ホセはカルメンに復縁を迫りますが彼女は拒否する。ホセのあまりのしつこさに業を煮やしたカルメンは以前にホセからもらった指輪を外して投げつけます。それを見て逆上したホセはカルメンを刺し殺し、倒れたカルメンの上で泣き崩れながら「愛するカルメンよ」と叫び、オペラは終了となります。
椿姫
タイトル | 椿姫(La Traviata) |
舞台 | 1850年代のパリ社交界とその近郊 |
作曲 | ジュゼッペ・ウェルディ(Giuseppe Verdi) |
上演時間 | 2時間10分 |
スケジュール | ・第1幕(35分) ・休憩(30分) ・第2幕(65分) ・休憩(20分) ・第3幕(30分) |
有名な曲 | ・椿姫「乾杯の歌」(第1幕) |
概要
パリの社交界を舞台に高級娼婦ヴィオレッタと青年貴族アルフレードの愛と悲しい結末を描いた世界的人気のオペラ作品。第1幕のパリ社交場でアルフレードが乾杯の音頭で歌う『乾杯の歌』は誰でも一度は聴いたことがある有名な曲。美しく優雅な音楽、簡潔な物語、長すぎない演奏時間で、オペラ初心者におすすめの作品です。
あらすじ
【第1幕】青年貴族のアルフレードは、パリの社交場で人気の高級娼婦であるヴィオレッタに恋をします。しかし、父ジェルモンは貴族の息子と高級娼婦の恋を認めません。
【第2幕】ヴィオレッタは社交界を離れてパリの近郊で2人で暮らし始めます。ある日アルフレードが留守の時に父ジェルモンが訪ねてきて息子と別れるよう彼女に迫る。彼女は彼への愛を訴えるが受け入れてもらえず、別れを決意し手紙だけを置いて黙って家を出ます。事情を知らないアルフレードは突然の裏切りに激怒。パリの社交界に戻った彼女の元へ行き、大勢の客の前で彼女を罵し、ヴィオレッタを絶望に突き落とします。
【第3幕】数カ月後、ヴィオレッタは難病におかされ死期が迫っていました。父から事情を聞いたアルフレードは彼女の元に駆け付けて許しを請い、再び一緒に暮らすことを誓います。しかし、末期の病だった彼女はついに倒れてしまいます。父ジェルモンも駆け付け彼女に許しを請います。彼女は「痛みが消えたわ、私は生きられる」と天に向かって叫び、アルフレードの手の中で息絶え、オペラは終了となります。
トゥーランドット
タイトル | トゥーランドット(Turandot) |
舞台 | 15世紀頃の北京 紫禁城 |
作曲 | ジャコモ・プッチーニ(Giacomo Puccini) |
上演時間 | 2時間10分 |
スケジュール | ・第1幕(35分) ・休憩(40分) ・第2幕(50分) ・休憩(30分) ・第3幕(45分) |
有名な曲 | ・誰も寝てはならぬ(第3幕) |
概要
伝説時代の中国・北京が舞台。絶世の美女であるトゥーランドット姫と、彼女に惚れた敗戦国の王子カラフの物語である。第3幕でカラフが歌う『誰も寝てはならぬ』はオペラ曲の代名詞とも言える曲で、その美しいメロディと歌声に感極まり舞台に引き込まれてしまうでしょう。ハッピーエンドのような終わり方をしますが、この物語は本当にそうなのか?と考察してみるのも面白いと思います。エキセントリックなストーリーは良くも悪くも興味を引き立てます。上演時間も短いので、オペラ初心者の方におすすめです。
あらすじ
【第1幕】伝説時代の中国・北京が舞台。宮殿(紫禁城)に絶世の美女であるトゥーランドットという姫がいました。彼女はとても美しいのですが、求婚する男性に3つの謎を解くという条件を与え、解けなかった者は斬首するという冷酷な心の持ち主でした。敗戦により国を追われたダッタン国の王子カラフは、召使いの女性リューとダッタン国の元国王である盲目の父ティルームと再開します。3人はその日、謎解きに失敗し紫禁城の前で斬首されるペルシャ王子を見に行こうと広場に向かう。処刑の様子を見に現れたトゥーランドット姫を見たカラフは彼女に一目惚れする。父ティムールと、密かにカラフのことを愛していた召使いのリューは彼を制止します。ピン、ポン、パンという宮廷の大臣も思いとどまるように説得する。しかし、カラフは反対を押し切り求婚の銅羅を鳴らして彼女の名前を叫び、新たな求婚者として挑むことを宣言する。
【第2幕】トゥーランドット姫の父であるアルトゥーム皇帝は無謀な挑戦を止めるようカラフを説得するが、カラフの意志は変わらなかった。そして、トゥーランドットが3つの謎を出しカラフは見事にすべての謎を解き人々は歓声を上げる。しかし、いざ謎を解かれると姫は動揺し「私は誰のものにもなりたくない」と皇帝の父に哀願します。皇帝は「約束は果たせ」と言い放ち、トゥーランドットは途方に暮れる。そこでカラフは「翌朝までに我な名を当てれば、あなたを諦めて、私は死にましょう」と姫に対して謎を出します。
【第3幕】北京の街に「今夜は誰も寝てはならぬ、求婚者(カラフ)の名前が分からなければ住民はみな死刑とする」という号令が下ります。勝利を確信しているカラフは『誰も寝てはならぬ』を歌いあげる。そこにピン・ポン・パンの3人の大臣が現れ「多くの美女や財宝を与えるから求婚を取り下げて欲しい、いらないのであれば街から出て欲しい。そうしないと我々は殺される」と懇願されるがカラフは拒否する。カラフの名を知る者として、父ティルームと召使いのリューが拘束され求婚者の名前を教えるよう拷問を受ける。密かにカラフを愛していたリューは、白状を迫るトゥーランドットに対して「彼のために名前を隠して拷問を受けることは私の喜びだ。あなたは彼を愛すことになるでしょう」と言い、兵士の短剣を奪って自害する。リューのカラフへの純粋な愛を目の当たりにしたトゥーランドットは、これまでの冷酷な心に変化が現れ始める。彼女の心を掴んだと確信したカラフは姫に接吻をし「我が名はダッタン国の王カラフ」と自ら名乗り命運を彼女に託す。カラフを愛してしまったトゥーランドットは死を要求せず、人々の前で「彼の名がわかった」と叫びます。宮殿前の広場で人々が見守るなか、皇帝である父に「彼の名は・・『愛です』」と宣言する。カラフとトゥーランドットは抱き合い、人々の歓声に包まれながら、オペラは終了となります。
ドレスコード
メトロポリタン歌劇場は基本的にドレスコードの指定はありません。
公式サイトでも下記のように表記されています。
What is the dress code?
引用元:The Metropolitan Opera Q&A
(オペラ鑑賞時のドレスコードは?)
There is no dress code at the Met. People dress more formally for galas or openings of new productions, but this is optional. We recommend comfortable clothing appropriate for a professional setting.
(METでは特にドレスコードはもうけておりません。通常ガラ・コンサートや新プロダクションのオープニング等はフォーマルが多いですが、あくまでもお客様の任意にお任せ致します。一般的に、大人の集まる場所にふさわしい、楽な服装をお薦めいたします。)
実際に訪れみると、ダークスーツやドレス姿のフォーマルの方からカジュアルな服装の方まで千差万別です。私の印象ですが、通常公演の舞台ならスマートカジュアルであれば基本的に問題なし、ただし上位カテゴリの席に座るならセミフォーマルくらいの方が気後れしなくて済む。という感じだと思います。
ニューヨークはパリやウィーンなど西ヨーロッパ諸国のオペラ歌劇場に比べると服装は緩い印象です。
チケット購入方法
メトロポリタン歌劇場のチケットは公式サイトから購入できます。
サイト右上の「Calender」をクリックして、表示されたカレンダーから希望の公演を選び「BUY TICKETS」をクリックして予約画面に進みます。
各カレンダーの日付の下に「公演名」「開演時間」が表記されています。
座席の種類
メトロポリタン歌劇場の座席は3800席、フロアは1階から6階まであります。
フロアや座席位置によって値段が異なります。
Orchestra(1階)
『Orchestra』は1階席です。
舞台と同じ高さの位置から見ることができるので、ステージ全体をフラットに見ることができます。
前方、センターに近いほど高くなり、後方、サイドになるほど安くなります。
中央より後ろ(Balance・Rear)だと2階の天井が視界に入りステージ上部が見切れてしまいます。
最後方には座席がない立見席(Standing Room)があります。
多くの歌劇は3時間以上あるので忍耐力が必要ですが、40ドル以下の値段で安く購入できます。
Parterre(2階)
『Parterre』は2階席になります。
8席(サイドの端は6席)ごとに区切られており、いわゆるボックス席になります。
ステージから遠すぎずステージ全体を高い位置から見渡すことができる「最も高い席」になります。センターになるほど高くなり、場所によっては1席500ドル超える値段になってきます。
Grand Tire(3階)
『Grand Tire』は3階席になります。
サイドはボックス席ですが、センターはサークル状の席になっています。
前方のPremium・Prime席は見晴らしが良いですが、後方のBalance席になると4階の天井が視界に入り、ステージ上部が見切れてしまいます。
G列席の後ろには立見席(Standing Room)があります。
Dress Circle(4階)
『Dress Circle』は4階席になります。
基本的な構造は3階席と同じですが、ステージまでの距離が少し離れる代わりにチケット代が若干安くなっています。3階席に比べると後方でもPrime席の割合が高いので、見晴らしの良い席を取りやすいです。
サイドのボックス席はセンター寄りだと平気ですが、ステージ寄りだと見切れが多くおすすめしません。
Balcony(5階)
『Balcony』は5階席になります。
ステージからの距離は遠くなりますが、高い位置なのでステージ全体を見渡しやすいです。後方センターがすべてPrime席になっており、センターサイドのBalance席でもステージ上の見切れが少ない。値段も4階席に比べると安く120〜200ドル程度なのでコストパフォーマンスが良い席が多いです。
逆にサイドのボックス席はステージから近距離なのに高い位置にあるせいで見切れが多くなります。その代わりボックス席という個室感がありながら50〜100ドル程度と安い値段で見ることができます。
Family Circle(6階)
『Family Circle』は最上階の6階席になります。
ステージからの距離は最も遠いですが、音楽ライブの後方席のようにモニター越しじゃないと舞台が見えないといった感じではないので「オペラを見る」という目的であれば十分な席だと思います。
最上階なので後方席でもステージの見切れがほぼありません。チケットも100ドル以下の場合が多いので、オペラ入門としてリーズナブルな値段で観劇したい方や子連れのファミリー層におすすめです。
メトロポリタン歌劇場のエントランス
『メトロポリタン歌劇場』はアッパーウエストサイドにある総合芸術施設「リンカーン・センター」にある。
5本のアーチが並ぶファザードが目印です。
館内に入ると赤いレッドカーペットが敷かれており、劇場へ向かう階段へ続いている。
スタッフにチケットを見せて入場します。
エントランス右側にはチケットのボックスオフィスがあります。
リンカーン・センター創設を支えたパトロン(支援者)の名前が刻まれています。
チケットを提示して入場したら、購入したチケットの座席があるフロアに上がります。
特徴的なスワロフスキー製クリスタルのシャンデリアはオーストリア政府からの贈り物で、劇場内にあるシャンデリアすべてに使用されている。
劇場内には、Grand Tier Restaurant(グランド・ティアー・レストラン)というレストランがある。
当日のチケットを持っている方限定で「開演2時間前から」と「休憩時」の食事で利用できる。利用したい場合は電話かインターネットで予約しておきましょう。
THE GRAND TIER RESTAURANT予約ページ
開演前や休憩中はアルコールなどのドリンクを愉しむことができる。
開演前と間の休憩時には、幕開きの8分前と4分前に開演を知らせるチャイムが鳴ります。
上演が始まると途中入場はできないので、お手洗いなどを済ませて、余裕を持って着席しておきましょう。
メトロポリタン歌劇場のホール内
1階のオーケストラ席から見上げた劇場内。
赤と金色で飾られた圧巻の豪華さで気分を引き立てます。
真紅の座席、金箔の天井、天井にはクリスタルのシャンデリアがあり重厚感があります。
エントランスと同じ、スワロフスキー製クリスタルのシャンデリアです。
1階『Orchestra』席の左サイト・フロントからの眺め。
舞台全体をフラットに見渡すことができます。
1階『Orchestra』席の左サイド・後方リアからの眺め。
Rear席だと2階の天井でステージ上部が見切れしまいます。支障はありませんが少し圧迫感があります。
5階『Balcony』席から観客席側を見た場合です。
上から
6階『Family Circle』
5階『Balcony』
4階『Dress Circle』
3階『Grand Tier』となっています。
4階『Dress Circle』の左サイド・プライム(Prime)席からの眺め。
撮影の問題で左が切れていますが、実際は見きれなく見ることができます。
4階『Dress Circle』のセンター・後方バランス(Balance)席からの眺め。
舞台の観劇には支障ありませんが、ステージ上部が若干見切れしまいます。
5階『Balcony』席の右サイド・後方バランス(Balance)席からの眺め。
ボックス席以外の席の間隔はこんな感じです。
人が座っている席の前を通るのは少し窮屈な感じです。
列の中心側の席の場合は早めに着席しておいた方が良さそうです。
座席の前には『Met Titles』という同時字幕システムが導入されています。
しかし、対応言語は英語・ドイツ語、スペイン語のみで、残念なが日本語には非対応です。
夜の歌劇場
オペラが終わるのは「夜の部」の場合、だいたい22時〜23時頃だと思います。
すぐにホテルへ戻りたいところですが、もし余裕があれば夜のライトアップされた建物も見てみてください。
館内の光が溢れるアーチのファザードがとても美しい。
広場の真ん中ではライトアップされた噴水ショーが見れます。
周囲の建物に匹敵するくらいの高さまで噴水します。
とても綺麗なので観劇後はこちらを少し眺めて余韻に浸ってみてはいかがでしょうか。
まとめ
『メトロポリタン歌劇場』は、世界最大級、アメリカ随一のオペラハウスです。
北米最大のクラシック・オペラ歌劇団であるメトロポリタン・オペラ(通称:MET)により、王道作品から新作まで、さまざまなオペラがレパートリー制(ローテーション制)で上演されています。毎年9月から翌年5月末までのシーズン制となっているので、オペラを観劇したい場合はオペラシーズンについても把握しておきましょう。
オペラと聞くと敷居が高そうに感じますが、意外とカジュアルかつリーズナブルに楽しむことができるので、オペラの観劇なんて考えてもいなかったという人も、一度体験として訪れてみることをおすすめします。
王道作品であれば、誰もが一度は聴いたことがあるクラシックの名曲と共に物語が展開されるので「この有名な曲ってオペラの曲だったのか」と再発見できる面白さもあります。
クラシックコンサートが演奏のみに対して、オペラは演奏に加えて芝居による物語も加わるので、人によってはオペラの方が楽しめます。ストーリーを事前に予習しておくことで原語上演であっても十分に楽しめます。
ニューヨークといえばブロードウェイ・ミュージカルが人気ですが、オペラも体験してみると意外と良いものです。最新の技術が凝縮されたモダンでエレガントなメトロポリタン歌劇場で、少し大人で上質なエンターテイメントを楽しんでみてはいかがでしょうか。